チャイナ満喫

COC楽しかったな。やっとGPS始まったって感じがするな、と、いつもTEBあたりで思ってたんだけど、そんな気持ちになった。例年TEBって3戦目か4戦目くらいだったはずだから通常運転かな。

私が特別に好きな歌手は、エディット・ピアフ、セルジュ・ゲーンズブール、フレディ・マーキュリーというわかりやすさなんだけども、こういう類いの声が好きなのと小沢健二の危うい歌声が好きなのは案外通じているような気がしていて、それは何かずっと考えてもわからなかったのに、どうも「生」っぽいところが通じていて好きらしい、と今回のCOCの小塚崇彦SPで気付きました。
あのソウル(マン)メドレー、小沢健二が小沢くんからオザケンに変貌した瞬間みたいだった。フリッパーズ解散してソロでデビューして、そして「LIFE」出した、ってあたりの空気とそっくりだ。小沢健二オザケンになったのってLIFEリリース後の最初のツアーを月カドでレポートした岡崎京子スチャダラパーの『コロコロなるままに』の「イエーイコロコロだいすきー!」のコロコロをオザケンに変えると面白いよ、って書き殴ってたのが発祥だったと記憶してるんだけど、そんなもん覚えてる人他にいるんでしょうか。渋谷系元ネタガイドとか今もう手元にないし、自分であんまり深く音楽元ネタdigるタイプの人間でもないのでソウル・マンがそうだったかよく覚えてないんですが、小塚SPの中盤あたり、『ラブリー』のイントロみたいに聞こえる。あと、『愛し愛されて生きるのさ』のイントロっぽいとこもあるよね、あの当時の小沢健二モータウン傾倒が懐かしく思い出されて、そんなトラックに乗せて私の大好物の小塚キャメルスピンが連続で綺麗に決まっていたので、わけもわからず涙がこぼれた。本当に私は小塚キャメルが大好きで2年前のスケアメのTAKE5のキャメルスピンをチャプター切ってひたすらそこだけ繰り返して見てたくらい大好きで、キャメルスピンをポジション変えずに長く回ってるのずっと見たいと思ってたらまさに俺得な展開になってて、それに加えて衣装がなんかあの頃のオザケンっぽくて卒倒しかけた。あのSlst入る所のブルースブラザーズリスペクトしてるのにどう見ても細い東洋人が生真面目にやってるようにしか見えないところなんかオザケンそっくり。無駄にベースライン凝ったトラックに生真面目な歌声で1小節に「マークはずすとびこみでぼくはサッとうばいさ(る)」とか「ばくおんでかかりつづけてるよヒットきょ(く)」みたいに20音節とか18音節詰め込む馬鹿みたいな過剰さもあのSlstで思い出したなあ。「爆音でかかり続けてるよヒット曲」の直前の歌詞が「スケートリンク君と僕とが笑う」なのも感慨深い。ちなみにここで歌われているスケートリンクのモデルは十中八九、神宮外苑にあるスケートリンクです。
(この曲の歌詞全部知りたい人はこちら→http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=55950

まさかスケートと小沢健二をここまであからさまに小塚崇彦が結んでしまうとはなあ。こづくんと小沢くん、体型とかサラブレッドサラブレッドいわれる家柄とか頭の良さと抜け方とか、かなり近い人とは思ってたけど、さすがにここまでオザケン化するとは思わなかったです。パフォーマンスする身体のために他を潔く切り捨てて最適化された頭の良さじゃなくて、頭でパフォーマンス全体、筋繊維ひとつひとつまでを統括制御する感じとかも、なんか似てる。ものすごい努力をした経験値でその統括制御機能の精度を高めていくことに喜び感じてそうなところとかも。

ドヤ顔ドヤ顔のオンパレードに疲れ始めてきた頃に、あの衣装でドヤ顔をどうやっても決めきれないファンク&ソウルがやってきて、アクのなさがアクになるあの独特な小沢ファンク&ソウルの後継者が思わぬジャンルから見つかって何より動揺している。
今季、プログラム判明していくとタンゴタンゴラテンタンゴタンゴスパニッシュタンゴタンゴフラメンコって、赤黒ドヤ顔赤黒ドヤ顔エンドレスかよ、と、お好きな人にはたまらないのでしょうが、残念ながらタンゴがどちらかというと苦手で衣装のコンセプトもタンゴってあんまり自由じゃないからつまんないな、と、常々思っている人間としては、もうそれだけで実はゲンナリしてて、今季の私のオアシスはケヴィン・レイノルズによる一人ウィーンフィルニューイヤーコンサートだけかな、と思っていたのだけど、小塚ファンク&ソウルで完全にやる気でたわ。やる気だしたついでにもの申すがタンゴでもピアソラ組はドヤ顔禁止な。ピアソラってどこまでドヤっぽさを削ぐかに命かかってるクラシックタンゴなんだと思うのでお前らもっとピアソラ尊重してやれ。
スパニッシュでもマラゲーニャは例外的に大好きなのですが、あの曲は小柄な女子選手が思いっきりキビキビ動いてますというのが大好きだったみたいで、おっきい男子が動くとなんか違うね…小柄な男子で見るとやっぱり楽しいから大ちゃんあたりは正直マラゲーニャ一度はみたかった。タンゴ苦手でマラゲーニャが大好きってラテンとかスパニッシュとかそういう問題じゃなくて単純に二拍子と三拍子の違いなんだよね、きっと私の場合。三拍子が少ないとイラつくの通り越して精神が不安定になる。これほんと昔っからで自分でも気味悪い。

小塚まさかのオザケン化と同じくらいジュベールの第九負けしなさ(ドイツ音楽、しかもベートーベンの交響曲がこれだけハマるフランス人てなんだろう、と頭を抱えるくらい曲自体はハマってた。コレオステップでもっと津波みたいにきてくれたら完璧)と、ヴォロ様振り付けに見るモロ様の迷走(SPロクサーヌのタンゴ・FSラフ3と聞いてたけどFS、ヴォロ様リタイア前まで流れてた素材はラフ2の第3楽章だけじゃねえかよ…なんだよ別れた男のことはきちんとふっきろよ…SP,FS丸かぶりとかヴォロ様可哀相だろ…ヴォロ様のこときちんとヴォロ様本人として見てやれよ…つうかケガあれ靭帯やったみたいだけどもうそれモロ様の曲選びのせいにしたくなるくらいの勢いだよ…)、そんなヴォロ様を労ったムロズ様のFSの曲が気になって気になってこれなんだストラヴィンスキーっぽい和音の使い方だけど調性音楽だし打楽器はなんかマーラーっぽくもあるしバーバーみたいなところもあって映画音楽みたいにも聞こえるけどその割には安っぽくないやなんだろなんだろ、と考え込んでるうちに演技終ってたという、でもひどい演技だったらそれがノイズになって考え込めなかったはずだからきっといい演技だったんだろう、で、これ何?と調べたら答えはバーンスタインの「波止場」だったので、なんか私けっこう自分の耳をほめていいんじゃない?と自己満足に至った過程とかそもそもムロズ様は「ティル・オイレンシュピーゲルのゆかいないたずら」とか「セビリアの理髪師」とかついてくるあたり、普段の性格が伺えて明るくてチャーミングでおっちょこちょいないい子なんだろうと思ってたらヴォロ様退場の時にその素が伺えて、なおかつあのアクシデントの直後にきっちり滑りきった(はずの)メンタルも持ってて更に自分の目はけっこう信頼できるんじゃないかと自己満足に拍車をかけてみたり、ヴェルネルやミキちゃんがまあまあの出来だとちょっと物足りないと思えるくらい贅沢な気分になってみたり、COCとにかく楽しかったな。

小塚くんは、FSの超絶技巧っぷりもさすがでしたけども、作曲家もスケーターもこんなにヴィルトゥオーゾなのに演奏者の音が潰れたり割れたり弾き飛ばし気味になってたのが気になったので、音は詰まっても決して弾き飛ばしや音色を壊さないような小塚スケーティングにはちょっともったいなかった。とくにコレオステップからフィニッシュまでいちいち音取りがバシバシ決まって爽快だったので、音源が負けててもったいなかった。
今からならまだ間に合いそうなので、ツィメルマンの演奏に差し替えすることをお薦めする。ちょっと前まではブレハッチみたいな小塚だったのにいつの間にかツィメルマンみたいに成長しててFSでも驚いた。あ、でも、ブレハッチツィメルマンポーランド人だよね、方向性おおまかに一緒なのかね、ポーランド人の気質との相関性ってなんかあんのかね。

リスト:ピアノ協奏曲第1&2番

リスト:ピアノ協奏曲第1&2番

これ、小澤征爾ツィメルマンコンビだったのな…えっらい生真面目な演奏だと思ってたら…結局小澤家=小塚家ということに話が回収された…
こういうことならこれも貼っておくか。
LIFE

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