選挙イヤーの泣き初め

2007年の選挙初め、と、ポスト小泉一色で選挙的には不毛の2006年でなまってしまった己の選挙勘を取り戻すべくこの山梨・愛媛・宮崎県知事選はまったり始動モードのはずだったのです。
もちろん注目は宮崎でそのまんま東でしたが、こんなにいい意味で裏切られるとは思ってませんでした。
夜8時を回って、大河ドラマに合わせて(地方選は一番最初に速報がくるのが大河ドラマ放送中、ニュースで映像見られるのもNHK大河ドラマ明けがデフォ)、最初に結果が来たのは山梨で、次に宮崎でそれがそのまんま東氏当確で、ここらへんまでは思いのほか当確でんのはえーなおい、というくらいのもんでしたが、その後ニュースで見たそのまんま東のたたずまいで度肝抜かれて。
だって、今まで見たどの政治家よりも政治家の責任と重みが伝わってくる顔してた。
万歳映像であんなに神妙な顔つきしてる人記憶にない、そもそも万歳しないでずっと頭下げてたし。自分は当選したけど政党自体は大敗という党首も神妙な顔をしてますけど、それと別の厳粛な覚悟決めた顔。これからの自分に待ち受けているきつい仕事を既に受け止めている顔。
当選はゴールじゃなくてスタートなんですよ。とここまで知らしめる顔はそうそうない。
それから、ミニ特集みたいのを『スタ☆メン』で見て、そのまんま東の愚直で地道な選挙戦にも心打たれたのでした。
およそタレント候補には似つかわしくない地味な市民派のとる選挙戦術で宮崎県内をドブ板で回ってて、これはこれでありなんだけど、タレント候補のやる選挙じゃないや、仲間のタレントの応援(当然、北野武は応援する気だったろうよ)を全て断ったってさあ、壮絶な一歩も後ずさりできないとこまで追い込んでやってたんだなあ、これは選挙だけを見据えてるんじゃなくてその後の県政運営見据えてやってるんだなあと。
だってそもそもタレントが政治に顔つっこみたいんだったら参院選比例代表でどっかの政党から出るのがお得だもの。国政より地方自治の方がよっぽど困難な道のりである事は夕張市の例をひくまでもなく田中康夫長野県政の例をひくまでもなくわかりきった事だもの。

近年稀に見るよい選挙戦を見させていただきました。直近の総選挙があの後味の悪さでしたので、こんな清々しい選挙戦を見たのはいつ以来かなと考えてみたんだけど、もしかしたら55年体制が崩壊した93年総選挙以来かもと気付き、思わず武者震いと共に落涙させていただきました。武者震いってなんかいい言葉だね。

これは、そのまんま東の偉業の一歩といっていいと思う。日本政治史に残るエポックメイキングな出来事がこれをきっかけに起こりそうな気がする。日本映画史に置ける芸能界での師匠の座にも引けを取らない偉業をこれから成し遂げる気がする。各党、各候補が軒並みショックを受けたと思いますが、これから参院選に向けどういう戦略で出てくるか非常に楽しみになって参りました。
93年総選挙でググったら(googleNHKスペシャルはすっかり選挙にかまけててみれんかったよ)面白い事書いてあるゼミ論文があったのですけど、さすがにこれは一部の好き者のための論文のような気がしたので折り畳んだ下に貼る事にしました。
http://www.law.tohoku.ac.jp/~kawato/Sem2005/ishizuka.html
URL削ってチェックしてみたんだけど、ここの研究室すっげ面白い研究やってんな!

それにしても現職の不祥事、保守分裂(この言葉大好物!)、知名度のある台風の目候補、という要素はあるにせよ、保守地盤で逮捕歴(しかも淫行や暴行など)がある人物が首長に押されて、その人物が誰よりも高潔に崇高に見えたというのは本当衝撃的だったなあ。風が吹くような都市部で起こった出来事じゃない、ハプニングやアクシデントじゃない、確実にこれは地殻変動が起こってるというサインなんだろうなあ。政治家に求められるものが変わったんだなあ。オラワクワクしてきたど!

折り畳んだからいいや好きに書こう。付き合う気のない人は読まなくて結構。

私が見るものとして現在たしなんでいる趣味はフィギュアスケートとサッカーとメガネ男子と選挙くらいなのですけど、この中で一番ライブで見ないとその面白みが消え失せるのが断然選挙です。例えば今回の宮崎だったら上にあげたような要素でどういう結果を導くか予想はするんだけど、最終的に投票日に何が起こるか、どんな天気だったか、ようは投票率だけは読めなくて、これ次第で結果は全く変わるから、選挙の水物っぷりは群を抜いてます。というか水物っぷりがその日のニュースで盛んに喧伝され、それによってまた投票率も変わり、潮目が動くのを目の当たりにしやすいからエキサイトしっぱなしです。フィギュアスケートとかサッカーの大一番の舞台裏の潮目の動きはライブで追う事が出来ないもの。後日談として当事者が語ったものや取材したものに触れるのが精一杯だもの。心理戦がそれなりに見える所にある選挙はやっぱりすごく面白い。そして、その土地のまっさらな素顔が一瞬だけよその地方にいても見える。その瞬間を味わえるのが本当にたまらないです。

私は出入りの激しい派手な選挙が好きなので、どうしても都市部中心になってしまいますが、それでもブロックごとに気になる県(都道府は全て特殊なので当然重点的に気にしてる)があって、例えば九州でいうと私のツボとしておさえているのは大分県なのですけど、人生30年のうち27年は選挙見てる私ですらスルーしていた宮崎県でそのまんま東が当選したのがねえ、なんだか自分でもおかしいほど感慨深くてねえ。保守地盤が割れたらこんなに面白いのかと思ってねえ。都市部よりよっぽどエキサイティングだと思ってねえ。

まだそのまんま東は政治家として何もなしとげてないよ。でも、この感覚は05年のJICで高橋選手のラフ2を初めて見た時や、この前の全日本で南里選手のカルメンを見た時の感覚と一緒なの。軌道に乗ったな、という感じがする。その人が今までどうも自分の歩む道にフィットしてなかったのがやっと軌道に乗ったな、という感じ。05年JICの放送をシーズン幕開けだ、と一応楽しみにしていたのだけど、お目当ての選手じゃなくそれまでスルーしてた選手に目がいって離れなくなったあの感じと本当一緒。私は微妙に遅く微妙に早い所にポジショニングしがちというか、開花5秒前みたいなとこをめざとく見つけてわあ咲いた咲いた、とさもずっと見守っていたようなポーズをとるのが得意な、そういう点だけは器用な人間なので、『政治家そのまんま東』はそれなりにチェックしといた方がええですよ。と言っときます。ジャパンインターナショナルチャレンジなんてなんだよそのイベントと思い、2回目も未だ開催されてませんが、フィギュアスケートファンなら一応チェックしてた、つうのと今回の宮崎県知事選って同じくらいの温度だよ。

それにしても、当確が出た時見てた大河ドラマの『風林火山』の主役の人(内野聖陽でしたっけ)とそのまんま東と私は同じ誕生日なので、そろそろ私も覚悟しないとなあ、次は私の番じゃないか、となんか思ったのでした。何の番かはわからないけど、なにかくるんじゃないか、と、そういう意味でも武者震いが来た。