2002年にあったこと、2006年に起きていること

オシムジャパン」と浮き足立ちながら報道各社が垂れ流しているものを見ていて、いつだって日本ではオシムのすぐそばにいた彼等の存在が報道からは全く消えていることが意図的なのか、それとも彼等の本心に気付いていない鈍感さからなのかはよくわからないけど、私が触れている彼等の戸惑いや悲しみや悔しさが、新聞にもテレビにも全く出て来なくて、最後に彼等が報道で扱われたのは成田空港でのオシムのお出迎えで、「イビチャ・オシム!ジェフユーナイテッド!」というコールとそれを受けるオシムの姿に今回の騒動の中で私は最も心を打たれて、ジェフサポでもないのに号泣したんですけど、そんな彼等も「オシムジャパンを歓迎」と勝手に報道されていて、そこで今回の騒動の中で一番悲しくなって、彼等の心情をどうしてきちんと汲むマスメディアがいないのか純粋に不思議なのです。
2002年の日韓W杯の時に、マスメディアが韓国礼賛一辺倒で、一方ネットでは今でも「嫌韓厨」と呼ばれる人々が一気に勢力を伸ばした時のことを思い出して、なんというか、私が個人的に見ていてJリーグチームとサポーターとして理想的な関係を築いていたジェフユナイテッド市原・千葉の人々があの時の韓国のようにされなければいいなあと思います。千葉と協会とオシム三者協議のあたりから、千葉バッシングの雰囲気が生まれそうな感覚がして、どう考えても悪いのは協会なのに「監督を快く出さないのはエゴ」「日本代表に自分のチームの監督が就任するのは名誉なことではないか」「ねばって違約金ガッポリとろうとしてガメツイよな」的なものが芽を出しているみたいで、私は、いや、私だけではなく、日本のサッカーファンならオシムが代表監督になってくれれば、という希望は持って当たり前だし、実際嬉しいのだけど、あの会見の時に思っていたのは、今季のジェフの契約切れた後に代表就任してくれるんだ、という解釈で私は第一報を見た時に喜んだのですね。それまで反町さんがA代表監督兼任してくんだとばかり思っていたし。

話が見えてくると、そんな暢気な事態じゃなく、他サポでもJチームのサポやってれば、協会のやり口に憤らない方がおかしい、知れば知る程ひどいことになっていって、現在Jサポ全体がこのオシム騒動で取り残されかけてます。取り残されているどころか、矢面に立たされているジェフのチーム関係者やサポの人達の事を思うと、オシムジャパン誕生でも全く喜ぶ気になれないのが本音です。「ジェフサポーターもオシムジャパンを歓迎」しているのってどこ?悲しみに浸ることもできないで戸惑いながらメディアスクラムに対応させられている犯罪被害者とその家族みたいなことになってる人達しか私は知らない。

川淵キャプテンはグループリーグ敗退の責任を取ってという名目なら別に辞めなくてもいいけどさあ、あの「失言」の責任を取って辞めてしまえ。本当に「世紀の失言」だと思ってるなら辞任して下さい。Jリーグの責任者だった人間がやることとして、ちょっと他の道は考えられない。本当に日本のサッカーを強くしようとなんか思ってない態度だよ。
ジェフのサポーターがいつも、Jの他チームや海外クラブにオシムを引き抜かれたくなくて、そのために色々一生懸命やっていたことを私は知っている。
それが、胴元がいきなり出てきて、こいつ気に入ったからって強引に水揚げしようとしてて、なんというか、それほど金をもってないJリーグチームが足と頭と情熱をフルで使っていい指導者を呼んできて、それでチームがどんどん育って強くなっていって仕上げにかかろうとした所で、いきなり協会にあんなインターセプトされたら、他のチームだって自分達で頑張ってチームを強くしても最後は協会においしいところだけさらわれるんだ、と思ったら、馬鹿馬鹿しくてモチベーション下がるよ。Jの質下がっちゃうよ。私は現在J2にいるチームのサポですけども、ジェフだってちょっと前まではJ2転落するのは時間の問題だったチームでしょう。だからそういうところがあんなに強く面白く育っていくのを見てるのは憧れだったし、いつかはうちも、と希望を抱かせてもらっていたのです。それがあんな形で、オシムとジェフの物語が終ってしまうのだったら、私の希望はどうすればいいのだと、オシムとジェフの物語の最後はハッピーエンドであってほしかったのです。いきなり物語に介入してきたのがあんな形で、私のみてきた彼等の美しい関係が汚されてしまって、だから私は怒っているのです。