めずらしいフランス人

グリモーのDENON時代の5枚組買ったす。ラフマのピアコン2番入ってるのからお約束で聴いたす。これのカップリングのラヴェルのピアノコンチェルトがすごくよかったす。安藤美姫さんは来季これをプログラムで使えばいいと思ったす。なんか、安藤さんには力強くて近代的な長調の曲が似合う気がします。『火の鳥』で滑ることができる人だから音感というか、リズム感とか音を拾う力はとてもよいのだと思うす。

若き日のエレーヌ・グリモー

若き日のエレーヌ・グリモー

ショーのオープニングとかエンディングの即興の振付けで安藤さん、よく音拾えてるなあと思うんです。あれで才能が露骨に出るよね。踊れるか踊れないかとか音を拾えるか拾えないかとか。どっちの人もすごいと思うんだけどさ。
うまくできてる人はその才能がすごいと思うし、手こずってる人はじゃあ試合で滑ってるあれはどれだけ努力してるんだろうと感動する。

私、ほんと、安藤さん嫌いになれなくて。あのオフリンクでの不器用かつ繊細さは長女のそれな気がするんですよ。気遣ってるなと思うし。それを誤解されたり気を遣いすぎて失敗したりでいちいち悩んだり傷ついたりするのもなんか長女ぽいんだ。

グリモーのフランスものは珍しいみたいなので(本読んだ限りだと)、あれ、ラヴェル弾いてんだ、と思ってたら聴いてるうちになんか安藤さんのことを考えてしまいました。若さがもつ不安定さとか攻撃性とか弱さとかがにじみ出てる、でも卓越した技量と才能に恵まれたことは確かな人の音だったからかもしれんす。

グリモーはクララ・シューマンの全曲集とか出さんかね。それを期待して私は他の人が弾くクララ・シューマンの音源に手出してないんですよ。『リフレクション』に収録されてた歌曲よかったからさ。DVD楽しみにしてたけど発売中止になっちゃったし。

私、日本語に訳されたロシア文学ってうまく読めなかったんだけど、この人が読んで弾いて解釈したロシア文学は受け入れられるんですよ。ロシア語をフランス語に訳したものを更に日本語に訳してたらきっとね、私読めた気がするんです。なんつうか、肌なじみの問題なんだけど、外国文学でフランス語で書かれたものを訳したものしかうまく読めなかったんですよ。他のものは努力してなんとか読んだかあきらめたかどっちか。今となると書き手や翻訳者の技量じゃないと思うんだ、この私の感覚。自分でフランス語を取得するのには挫折したけど、言葉のリズムとしてはやっぱり好きです、好きというかうまくなじめる。日本語で書く日本人作家でもなぜかフランス語のリズムと通じてる人のばかり読んでいるし。説明するの難しいのだけども、ただのフランスかぶれなだけじゃないと思うんだ、これ。あと、同じくらい妙に肌なじみのいいのがポルトガル語。ブラジルの方じゃなくてコンチネンタルなポルトガル語が特に。ファドとか聴くとぶわーってなじむ。ポルトガル語の文学には出会ってないからそっちは検証してないけども。
イタリア語やスペイン語に関してはむしろ耳障りだったりするから、ラテン語がどうという問題じゃないぽいんですよね。ちなみに私にとってはヨーロッパの主要な言語の中ではドイツ語が一番耳障り。スラブの言葉は割と好きです。全く何言ってるのかわからないけど。
グリモーのシャコンヌ