「若くない」ということ

marginalism2013-05-31

あまちゃん』を見ていて、かつての自分はユイちゃん(橋本愛)みたいだったなあといつの間にかアキちゃんユイちゃんを目を細めてみる美寿々さん(美保純)視点を獲得していて、私は母親じゃないから春子(小泉今日子)視点は獲得できないんだよね、でも、先輩というか先達というかそういう感じで「めげぇな」(岩手ではないけど南部地方在住であるうちの祖父母の発音ではこうなる。もう少しわかりやすく言うなら「めんこいな」)って地元の町おこしアイドルやってる女の子たちをドラマで見ていたんですけど、先日友人が出るというのでRE-EXTRA!!!ってイベントいったんですよ。私は土日祝日仕事ってことになってしまっててなかなか観に行く機会が作れなかったので平日イベントだからやっと都合がついて観に行ったんですよ。

日時:2013年05月15日(水) OPEN 18:00/START 18:30 END 21:00頃予定

会場:渋谷Star lounge http://www.starlounge.jp/

【出演アーティスト】
ウェザーガールズ http://weathergirls.jp/
BELLRING少女ハート http://crimpri.com/brsh/
エレクトリックリボン http://eribon.com/
ナグリアイ http://www.naguriai.com/

http://extra-e3.com/re-extra1.html

渋谷スターラウンジって私が一時期Macの壁紙に使ってたクリムトの水蛇2を本当に壁紙にしちゃっているようなハコで、アイドルヲタが周りにいると名前は聞いてる人達ばかりだったからどんなもんかと軽い気持ちでふらっと観に行ったらヤバかった…ステージに立ってる子全員愛おしくて愛おしくてたまらなくて、さっきステージに立ってた子たちが他のアイドルグループのパフォーマンスを目をキラキラさせて真剣に見つめている姿を見たらこみあげるものがあって行き場がなくってトイレに逃げ込んでしまうくらいヤバかった。若い女の子が頑張ってる姿に貴賤なしだ。その中の人間関係とかまあごちゃごちゃした問題とか色々あるのはよく知ってるけども、そういうものコミで愛おしくて、ああ私はもう若くないんだな、とはっきり自覚しました。
私はかつてステージに立って頑張っている若い女の子だったことがあって、でも今はそこに立つことはない大人になった。そういう眼差しで彼女たちを見ていると、辛いことや悲しいことや悔しいことなどを山ほど抱えてても頑張れよ、と、全部受け止めてみているから、あなたがたを傷つけないように私も努力するからそのフィールドの上で頑張れよ、と、でも頑張りきれなくなったら降りちゃいなよ、病んじゃう前に止めちゃいなよってもう純粋にそれだけ思ってました。私は守られてる部分もあったけど守られなかった部分もあったために人生ハードモードになっているので皆そういうことにはなってほしくないなあと一番思った。あんな思いをするような人間は増やしたくないです。
私はもう若くなくて大人だから、こういう子たちを守らなきゃいけないし、そういう気持ちを託した本を作ろうって決めたんだったと思いがけず足下を見つめ直すきっかけになって、ちょっとそれが衝撃的で2週間以上感想がうまく書けなくて、今でもうまく書けてないんだけど、でもまあそういうことで、ナグリアイはBiSのフリコピユニットから初期BiSがあんなことやあんなことがなくて誰も脱退せず牧歌的に地下アイドルとして活動していたらこういう形のアイドルになっていただろうというパラレルワールドのアイドルとして独自の進化を遂げていたし、エリボンはきっと私ほかの現場も行くなって思うくらいパーフリストとしての琴線に触れる楽曲やパフォーマンスレベルが何気に高いと思ってたら音大出身者がやってるアイドルだったのでアレンジの隙のなさも納得したというか本気でちょっと目の前でシャボン玉飛ばされた瞬間に感動して、私がポップな人間ではないのでこういうアプローチにならないものを、もしポップな土壌があったらこうやって表現してたんだってものを見せてくれた気がして肌なじみがよかったので都合ついたら現場また行きます。
そしてウェザーガールズのステージングを見ているベルハーちゃんがとってもよく知ってる顔つきをしていたので、もう耐えられないほど感極まり気持ちを落ち着かせるためにトイレに逃げ込んだというわけです。(関係あるのかないのかよくわからないけども、ウェザーガールズって台湾出身アイドルなんだけど、ベルハーちゃんにも台湾の子がいたと後で知る)
アイドルの魅力って何?握手会とかあれキャバクラと何が違うの?ってずっとドルヲタ諸氏に質問してきたんだけど、全っ然違うってその時わかった。あの会場では少なくとも下世話な感情より純粋に応援しているヲタの姿ってのが溢れ返っていて、表で売れてるアイドルってもう下世話になっちゃうじゃない、どうしても下世話なメディアが追っかけるから下世話な情報が送り出されて行くっていう。恋愛に対して「禁止」ではなくてもっとハードルのゆるやかなアイドルの世界は違うわ全然違うわ。若い女の子が頑張ってる姿は美しいんだよ、それだけだよ、それを純粋に応援してるんだよ、ってわかった。あそこには「消費」という概念はなかったね。売れてほしいか売れてほしくないかで揺れるヲタ心ってのもちょっとわかりました。売れることによる弊害を考えると無邪気に「売れてほしい」って言えないよね。こういうシーンから売れていったアイドルに対する複雑な古参心って他人事としてずっと処理してきたけど、皮膚感覚でちょっとわかるようになった。
若い女の子が頑張ってる姿が美しい」というのは若い女の子当人にはわからない感覚だと思います。本人はきっと惨めになったり必死にもがいていたり時には死にたくなったりするんでしょうけど、そういう姿を躊躇なくさらけ出してることは美しいことだったんです。元「若い女の子」として現役の子にそう伝えたいなと、そして今はわからないだろうけど、いつか若くなくなってその美しさが理解できた時、若い子にそのことを伝えられるようになってくれたらなと、だから今は辛いかもしれないけど若くなくなるまでなんとか生き延びてほしいです。
若い女の子が頑張る姿が美しいから100ページも特集するような雑誌ができたんだと思いました。彼女たちが頑張るなら俺らも頑張るよ、その心意気わかるわ。

季刊 TRASH-UP!! vol.15

季刊 TRASH-UP!! vol.15