主役の設定

前クールの朝ドラの『純情きらり』は、主役が桜子っていうのが掟破りだったなあと。朝ドラ主人公の定石でいくと、あの三姉妹だったら主役は杏子(井川遥が演じていた次女)だと思ったんだよね。桜子は何かとよれる。それは今までみてきた朝ドラだと主人公の姉もしくは妹の役目だったはずだ。
それに比べて杏子はブレない。戦前に資格をとって戦中戦後と手に付けた職を武器に自立した女の人で、家族を優しくしっかり支えていて。
純情きらり』は桜子が死んだ所で終ったけど、あの歳で死ぬのも今までの主人公じゃないよね。あれはやっぱり主人公の身近な人の役回りで、亡くなった妹の子供を育てていく、みたいなものが後半戦の重要なストーリーになっていくのが今までの朝ドラだったよなあと。

くらもちふさこが『天然コケッコー』を描いていた時、主役をそよちゃんにしたのは冒険で、今までの私の漫画だったら主役はあっちゃん、みたいなこと言ってたと思うのですけど、『純情きらり』も同じようなことやってたんだろうなと思う。

純情きらり』の一番すごい所は、そんな冒険作だったのに、あたかも王道朝ドラのようにみせたことです。役者の力が素晴らしかったのは言うまでもないですけど、やっぱりチームとしてよくまとまってたのだろうなあ。

メインキャスト、誰もが難しい役だったろうに、難しさが伝わらない芸達者が集まってて本当圧倒されました。三姉妹はもちろんのこと、冬吾(西島秀俊)も素晴らしかった。というか、冬吾ってちょっとしたミスがすぐ大事故に繋がる役だったけど、破綻無く演じ切ったっていうのが恐ろしいよね。役者を信頼してないとあんな脚本や設定にできないよなあ。

純情きらり』は割としっかり見てたんですけど(原案の津島佑子は嫌いじゃない作家だったし)、『芋たこなんきん』はまだ一度も見てない。田辺聖子がとことん苦手で、『ジョゼと虎と魚たち』を見た時も後に残ったのは田辺聖子犬童一心と自分自身の食い合わせの悪さだけで。
一度調子のいい時に15分くらい時間作ってみようとは思ってるのだけど、どうも食わず嫌いが先に立ってしまいます。

そういえば、朝ドラ明けのNHKニュースのアナウンサーの顔が面白かったな。あれきちんと物語見てるんだなあと思った。