あいらぶまらげーにゃ

世界選手権って本当にすごいんだなあと一番実感したのが、試合には直接関係のないことだった。エキシビションの日、たまたまラクーアのあたりを歩いていたら赤いジャージの可愛らしい白人の女の子と付き添いのおじさんがいて、よく見たらクロアチアの国旗ぽいジャージで、そんでオリンピックのマークが入ったパスみたいの首からさげてたので、試しに近くまでいって聞こえるか聞こえないかくらいの声で「いどら」と言ってみたら振り返ってくれたので本人だと確信して握手してもらって「あいらぶまらげーにゃ」と言ってみてサインもらった。それでぼけてて写真とってもらうの忘れて、慌てておっかけて白人のチャーミングなおじさん(サーシャサーシャ呼ばれてて、あとで確認したらコーチの名前がアレクサンドルとかそんな感じだったのでこのおじさんはコーチだ)がヘーゲル選手と私の2ショットの写真を撮ってくれた。会場から離れた場所で観光してる外国人選手とばったり会うってやっぱワールドなんだなあって興奮した。
とっさに出た英語が「あいらぶまらげーにゃ」と「さんきゅー」だけで、日本に来てくれてありがとう、とか、あなたにあえてうれしい、とか、そういうことすら伝えられない自分の英語力にびっくりした。
ヘーゲルのフリーがマラゲーニャでよかったんだっけ?と確認できるまですごくドキドキした。前日の女子フリー観戦中に、あ!マラゲーニャだ!と思ってちょっと印象に残ってたけど自信がなかったから間違ってなくてよかった。
というか、私より見つかった選手の方が戸惑っててなんか失礼なことをしてしまったのだろうかと思っていたが、普通、自国とゆかりのない20位前後の選手を街でみかけても気付かないと指摘され、ああ、そっちでびっくりされたのかとやっと気付いた。

全体を通していい世界選手権だったと思う。あと何気に願望をこめた予想が全種目で当たって私は競馬の予想屋が1シーズンだけある大当たり連続のシーズンを使い切ってしまったのかもしれない。この大会の全種目のメダルが決まる瞬間に立ち会えてよかった。シェン&ツァオとデンコワ&スタビスキーの有終の美の瞬間に立ち会えたことがとても嬉しい。私はスケーティングフェチの中でもスケーティングがよければ誰でも好きなわけではなくただのディープエッジ好きだとわかり、生で見ると意外な選手にときめいたりときめかなかったりしました。とりわけスタビスキーのエッジワークを生で見ることができてよかった。現地組に転身して彼等が競技者であるうちに間に合ってよかった。ディープエッジ好きとしてはこれを生で見逃していたら大変に悔やんだと思う。
とにかく4種目全て違う趣きと感動があった。もう今物理的に声が出ない。のどの調子が飲み過ぎたママの状態を超えてる。

あとなぜか東京ワールドの記事をIT関係の配信でみかけて、誰だ?と思って記者の名前を見たら、記事を書いてる人はよく競馬予想で名前をみかけていた人で、お久しぶりです、あなたもこちらの方にきてましたか、と思いました。ちょっとなんか東京体育館が競馬場みたいな雰囲気になってて、なんだろうなあ、あれ。フィギュアスケートの会場って私の乏しいスポーツ観戦経験からはサッカースタジアムより競馬場に見ているファンの雰囲気が似てるなと漠然と思っていたけど、今回は確信した。今回が特別だったのかもしれないけど。むしろ闘牛場とかコロッセウムなのかな、実は刃物を使う競技だし。そりゃカルメンやらグラディエーターが似合う舞台だわ、と思った。

北米スケーターは例外なく華があったなあ、だけど私はユーロ勢が思った以上に好みっぽいと気付いたりもした。日常生活ではまず使わない「氷映えがしますねえ」という言葉を何回口にした事か。樋口豊コーチの好みと私の好みは思っていた以上に近いっぽいとも気付いた。自分の好みとめちゃくちゃ近かったり対極にあったりする玄人を見つけるとその後その競技なり作品なりを追っていく上でかなり楽になるので*1樋口さんはいたわっていかなければならないと思いました。

エキシビションのエンディングで最後に安藤さんが出てくるあたりでボレロにあわせて他のスケーターが手をあげたりおろしたりする振付けをやっていることに気付きモーリス・ベジャールでジョルジュ・ドンで!みたいなそんなもんが頭をよぎった。バレエ全然詳しくないですけど、なんか数少ない知識でどっかで見たボレロを一瞬思い出した。よくわかんないけど、ニコライ.モロゾフモーリス・ベジャールなんですかね?安藤=ジョルジュ・ドンなら高橋=森下洋子あたりですかね?男女完璧逆のイメージになってるけどさ。

*1:例えば私は淀長さんと映画の好みが全く合わなかったので、彼がけなしたものはとりあえず片っ端から見ればいいと思ってた