強く柔らかく美しく

marginalism2007-03-27

東京ワールド観戦中にタイトルに入れたもの全て私には足りないと痛感いたしました。余裕なくて常に過呼吸なのか酸欠なのかようわからんみたいなことに客席でなりがちになって花粉症対策のマスクが思いのほか大活躍。しんどかったけど楽しかった。楽しかったけどしんどかった。5日間みているだけでこんなに疲れると思ってなかった。周囲に全然気を配れなかった。もう人間としての底が私は浅すぎる。情けないほどにそれは思った。人間がちっちゃい。30代の人間が観戦してるだけでこれだけ痛感したのだから、あのリンクの中に放り込まれている10代の選手にとってはいかばかりのものなのかと。毎年ワールドってこんなもんなのか?それともやっぱり今回が特別だったのか?試合自体は素晴らしい試合が続いていたけど、客席の雰囲気はそのいい試合の助けになったのかな。なっていたのならあれに耐えた甲斐もあったけど。日本勢のメダルがどうとかそういうこともう関係なくなってきてた。とにかくこの会場にのみこまれないようにと必死だった。でも女子3人の順位足しても3枠だったっていうのは素晴らしいね。中野さんが去年と同じ順位を確保したのが地味にえらいと思う。男子も織田くんがよくあそこまで順位あげてきたと思う。枠の確保考えたよねえ、彼のことだから。エキシビションの日、リンクで誕生日祝ってもらえて「大人の男」とか紹介されてたけど、本当は自力で出たかっただろうな、悔しい気持ちもあるんだろうな、となんか思った。
以下覚え書き。随時追加。
・スタビスキーのペンダントはさそり座のマークか乙女座のマークかな、と思ってパンフレットで誕生日チェックしたらさそり座だったので、あれはラッキーチャームなのかな。つうかてっきりデンコワもスタビスキーも年上だと思ってたのにスタビスキーは1つ下だったよ!
・シュデク組とペトロワ・ティホノフ組は本人達がとにかく不憫でした。ペアってやっぱり危険なんだなあと。リンクで試合することがまずどれだけ難しいことなのかと痛感して涙ぐんだ。
・アニックさん(プレオベール選手のコーチ)とかサロメさん(スイスチームの振付師)がめちゃくちゃかっこいい大人の女性で、30代を終える頃にはあんな風格を持った女性になりたいと思いました。
・キスクラがとにかく豪華、ミーシンもモスクヴィナもミリュエルもリニチュクもシュピルバンドもズエワもバーケルもオーサーもアルトゥニアンもモロゾフもその他いつもテレビで見ていたり写真で見ていたりする一流のコーチや選手や関係者や、あ、カート・ブラウニングも多分放送ブースにいたし、連日伊藤みどりは大人気で場内解説をやっていたし、世界中のフィギュアスケート関係者や熱心なファンが一堂に会していて、もちろんいつも読ませてもらってるブログの人たちなんかもかなりここに今いるんだろうな、とかキャパ6500人くらいのところにビシーってみんな詰まってると思ったらグワーってなんかきた。
・バトルのキスクラになんでラファエル?と一瞬思ったけど、そうだったジャンプ習ってるんだったっけ、と気付いた。むしろ真央ちゃんがバトルの後追いなんだった。
・男子FSの時は隣の人がバトルファンだったみたいで大変に申し訳なくなりました、なんかうん、最終滑走の選手のファンってつらいのわかるし、その前までああいう雰囲気でそれでああだったから、勝負の場だから仕方がないんだけど、私はもっと気遣いできたんじゃないか、とすごく反省してて、どうふるまえばよかったのかそれでも今でも思いつかないのが人間としての底が浅いなあって。
・日本人女性にバトルが人気なのは想像以上だけどわかっていたことでしたが、ランビエールもそれに負けず劣らずの人気でびっくり。海外男子シングル選手が好きな人にとっては乗り切るのが複雑で難しいワールドだったろうなと思った。日本人選手が互角に戦えている状態で東京ワールドを迎えた外国人選手のファンという立場って、つらいよね。男子では今まであまりなかった状態であろうし。本田武史の孤独な戦いみたいな時と雰囲気がまた全然違うし。
・うちの母が女子FSを見たがってほぼ初めて一人で上京してきて、誰を一番応援してるのかときいたら「みきちゃん」と。親孝行できました。安藤さんありがとう。
・安藤さんのインタビューみてて、地上波がディレイ放送やってる意味を理解。これはライブで流すのは確かにリスキーだな、選手を守るためにディレイ放送は必要だわ、と思った。何が起こるかわからん。
・母が「高橋くんのCM面白いねえ」などと言ってた。
・母が「キムさんきれいだねえ」などと言ってた。なんか最終グループの時やたら「キムさん」と連呼してた。キム・ヨナさんが言いやすかったのかお気に召していたのかは不明。最終グループの一人一人を指差して、まおちゃん、みきちゃん、キムさん、その他、みたいな確認の仕方でした。でもその様子を見ていたらコストナー、エミリー、キミーを知らないわけではなかったぽいです。
・というか、いきなりカタリナ・ヴィットの思い出を語り出す母。クーリックのことを言いたいらしい母。トイレにいったついでに会場回ってきたらしくジェフさんってほら小柄な男の人が沢山のお姉さんたちに囲まれていたよ、と報告してくる母(バトルがカナダ勢の応援しにきてたらしい)。言われてみればジェフさんは小柄だったな、と気付く。ジュベールさんの衣装がマシになってたとか、中国の大会でたけかごに花をポイポイいれてくのおかしかったね、とか、お母さんもフィギュアスケート好きで一生懸命みてたんだなって改めて思った。今書き起こして私、今回のチケットとったことで思っていたより親孝行できたのかもしれないです。
・とにかく去年の安藤さんの連戦連戦のスケジュールってものすごく疲れたに違いないと連日観戦してて思った。まだからだのあちこちが悲鳴を。
・スタオベ厨と化してましたがリンデマンSPでスタオベしてた自分をさっき思い出したがそのことについては後悔していない。
・会場の手拍子はテレビで見ると大変にずれているように聞こえたが、体育館だから仕方ないのだと思う。会場ではそれなりにあってた、が、自分の向かい側の席の手拍子はちょっとずれて聞こえるのでテレビ放送だとあんなことになってしまうのもわからなくはない。
・ポイキオが生で見れて大変に嬉しかったのに、『ありがとう日本』ってポイキオが紙に書いてもっててむしろ今泣きそうになってる。その場では泣くどころじゃなかった。一旦泣いたら最後な空気であった。やっぱりポイキオのスケーティングはやわらかくて丁寧で大好きです。
コストナーのSPノーミスがみれたのも嬉しかったなあ。男子であのクラスの選手がでてきたらものすごい盛り上がりなのに女子ではそれほどじゃなくて、客層の違いを思い知った。
コストナーがSP後のインタビューで「日本人が強い選手を揃えてきて外国人の私に対してどういう反応をするのか不安だったが、温かくむかえてもらえて嬉しかった」みたいなことを言ってたらしくて、彼女は去年、オリンピックのホスト国の代表選手としてものすごく背負ったものがあるだろうから、じんときました。
アイスダンスFDと女子SPの日、千駄ヶ谷駅前のコンビニでエアロちゃんのぬいぐるみを「ここでしか買えません!」とずっとあおっていたのに、ダンスからみたい客は誰も目も足も止めず、すげえ便乗商法だな、ここで売るんだ、みたいな空気だったはずが、ダンス終わって外に出たらめちゃくちゃバカ売れで会場にエアロちゃんの紙袋を持って入る人がそこかしこにいてさらにびびった。アイスダンサーの半分くらいの年齢の女の子達が女子シングルでは競ってるんだものなあ、ってなんか実感した。
・あのアイスダンスの混戦と素晴らしい試合を見ないなんてもったいない、と私は思ったのですが、それよりエアロちゃんのぬいぐるみの方が全然大事な人がいてもいい、というかどっちの人もまざって見られる場所として成立しているのは素晴らしいことだと思います。
カッペリーニ&ラノッテのFDがガーシュウィンのI've Got Rhythmで、この曲大好きなんで、生でこれみれて嬉しかった。ダンスは混戦5組の他、ホフロワ&ノビツキーやヴァーチュー&モイアーやデービス&ホワイトを生で見れたのがよかったです。あとマリーフランス・デュブレイユは雅子様に顔の感じが似ていると思った。カーズやザレツキーズもよかったです。
・シュピルバンド門下は男性がうまいので安心して見ていられる。ダンスもペアも男性がうまいカップルは落ち着いてみられていいですね。
・でも現在世界一スケートがうまいのはスタビスキーだと確信した。
・スタビスキーはいったいどこから平井堅仕入れてきたのか。
・ペアはドイツとロシアの争いがものすごく楽しみになります!私は本当ユーロをみにいけばいい。思ったよりも好みな選手はアイスダンス以外は振り返ってみるとユーロ勢ばかりでした。
・ヴァーチュー&モイアーはやばいです。彼等をずっと見守って10年後くらいにシェン&ツァオやデンコワ&スタビスキーのようになってしまったら完璧極まると思う。今は色気のなさが逆に可愛らしい個性のカップルですが。
・シェン&ツァオのプロポーズの立会人になったんですねえ…あ、たまたまシェン&ツァオやデンコワ&スタビスキーの名前だしたけどヴァーチュー&モイアーには夫婦や恋愛関係になれと言ってるのではないです。この二人にどんな情感がつくのか楽しみなのです。
・やっぱり小塚くんとモイアーには共通する雰囲気がある。
・毎日、会場から記事書いたりしてるのって体力が必要だよね。これ、仕事にするの私には無理。やっぱり無理。商売になるレベルでライティングする体力も気力もない。
川口悠子アレクサンドル・スミルノフは本当に普通にロシアの新星ペアで、ロシアの王道の綺麗で柔らかい所作と高い技術を持つペアで、ベレズナヤ&シハルリゼぽい空気はもう既にちょっと醸し出していた。ロシアの優雅なペアを見たい!ロシアペアっぽいロシアペアを見たい!という気持ちはものすごくあったのだけど、それがなぜか日本人女性によって実現されつつあって、サッカーでいえばブラジル代表のエースストライカーが日本人みたいなもんで、日本でいえば柔道の花形の階級でロシア人が国を背負っているみたいなもんで、ちょっとまだよく意味がわかっていないくらい衝撃を受けた。日本人だから応援するんじゃなくて、もちろんそういうところもあるのだけど、フィギュアスケートファンとして、このペアの誕生と登場は喜ばしいことです。でも、ロシアのペアで一番手って日本人女子シングルの選手以上にプレッシャーかかってしまうよね。世界中から注目をあびることになるし。ロシアのペアの一番手って五輪で金をとって当たり前だとみんな思ってるし。ブームじゃなくて伝統を背負っていくことになるから、彼女の物語はものすごいことになりそうです。
・というか、村主・荒川の物語がうまく終わる前に真央・美姫(美姫・真央?)の物語が本格始動してしまった!そしてその裏でちゃっかり柔道におけるヤワラちゃんの裏の野村ポジションにおさまっている人もいる。柔道みてる人で「野村こそ一番の天才」という人もいたのだけど、なんかこうなってくると、意味がちょっとわかるね。
アイスダンスとペアの違いはジャンプを飛ぶか飛ばないか、肩より上にパートナーを持ち上げていい(こっちがペア)かよくない(こっちがアイスダンス)か、男性が女性を投げる(こっちがペア)か投げない(こっちがアイスダンス)か、あたりで区別すればいいと思うよ。なんか知りたい人いるみたいだから書いとく。
・ペアはともかく他の3つの競技は終わってみると点差が僅差過ぎてびっくり。特に女子。アイスダンスより僅差の競技が今大会であるとは思っていなかった。
・振り返ってみると結構最近までジャンプの見分けがあまりついていなかった私が、普通にどの種類のジャンプか見分けていた。たまに思いっきり間違ってたけど(ガラフィナーレのシングル銀メダリストによるサイドバイサイドのトリプルフリップを思いっきりトリプルルッツだーとか言ってた)(しかもフリップだよ、と訂正されると「だってあの二人もともとフルッツだったじゃん」と素直に認めず言い訳して自分の間違いを即座に受け入れない悪いところが出まくり)織田FSでコンボミスに即座に気付き見ていて動揺したり、誰に対してもそれなりに濃いフィギュアスケートファンだと気兼ねなく言えるかな、と自信がついた。つけていい自信なのかどうかはわからない。
・次はステップに入る要素をきちんと覚えたい、スリーターンくらいしか自信を持っていえないから、モホークとかブラケットとかロッカーとかチョクトーとかそういうの見てすぐわかるようになりたいです。
・地味にチェンジフットアップライトスピンが好きです。
・ツイズルがもったいない、リフトがちょっと長かった?などアイスダンスも割とわかってたぽい。
・ペアはさすがにあんまりわからない。川口&スミルノフの技術点がなんであんなに低かったのか理解できなかった。今回ジャンプのルールで泣かされた主な人と組は川口&スミルノフ織田信成キム・ヨナ
・女子のコーラーはDG厳しかったですね。
・女子の表彰台の3人は3人全て違うタイプのジャンプを飛んでいましたね。
キム・ヨナキミー・マイズナーのジャンプの質の違いに唖然。SPはキミーがヨナの直前の滑走順だったから、ヨナのトゥ系ジャンプの優雅さが際立った。でもキミーだって頑張ってたよ。
・つうかみんな頑張ってたに決まってるよね。客席ですらあんなに疲弊したもの。気力で持ちこたえたもの。
・腰が5日間観戦していただけで既にちょっとやばいんで、ここに爆弾もっていたらつらいだろうな、って。
・あげひばりは思っていた以上にめちゃくちゃ密度の濃いプログラムでした。
チャルダッシュの方がメンコンよりランでジャンプでランでジャンプで、という感じに会場では見えたが、テレビで見るとそうでもない。テレビ放送と生の印象ってけっこう違うね。
・とはいえサラ・ヒューズソルトレイクシティみたいなことにチャルダッシュの時は会場がなってました。
・あそこでクワンが耐えしのいだみたいな感じでした。
・が、むしろ本当にヤグディンプルシェンコみたいなことになってしまうのでしょうか。
・今季の恩田SPやコストナーのFSをみてローリー・ニコルの「日本」のイメージがおかしいのだと思った。
・北米勢になぜここまで冷静なのだろうと思ったけど、多分単純に北米勢はディープエッジじゃないから。バトルのスケーティングはやっぱりとてもよかったけどディープエッジじゃないという理由だけであまりときめかなかった。
・北米ダンサーは表彰台組より若手にときめきました。樋口さんの解説がああなるのわかるよね。私、樋口さんとかシンクロの田中さんみたいな口調になってたと思う。
・ベルビン&アゴストはテレビで見た方が全然華があるという最終組の中では珍しいカップル。なんで会場であんなに目立たなかったのだろう、録画したのみたらめちゃくちゃ華やいでた。
・デロベル&ショーンフィルダーのFDかっこよかった。ボニーとクライドがよく合ってました。『俺たちに明日はない』見た後、あくまで自分の中ではフェイ・ダナウェイのコスプレをした私がいたのでした。ちょうど今の中野さんや高橋さんの年代の時。恥ずかしい年代のことをそろそろ懐かしく語ってもよかろうて。
・けっこう泣いていたとは思うのですが、演技中に泣いたのは中野さんのSPと安藤さんのSPの時だけ。中野さんはどっかのスピンのあたりから、安藤さんはスパイラルのあたりから見てて泣きじゃくってしまった。
・泣いた回数もスタオベの回数も覚えてません。スタオベあんまりしなかったような気が試合終わるまではしていたのですが、リンデマンのSPのあたりでスタオベしていたのだからけっこうやってたんだろう。日本勢の時は(励ましの意味だったりねぎらいの意味だったり単純に良かったり理由は色々ですが)多分ほとんど立ったのかなあ。ノクターンの時に立てなかったのは覚えている。
ポンセロの滑りやベルナー(ベルネル?)の滑りも綺麗でしたね。ベルナーはファンがものすごくいて、下手したらジュベール以上に盛り上がってた。意外とジョニーズエンジェルがグワーっという感じではなかった。バトル=ランビエール>ベルナー>ジュベール=ジョニーみたいな印象だったけど、男子シングルのSPの空気は異常だったから冷静になっていると違うかも。日本シングル勢しょっぱなだったのはやりずらかったんだろうな。
・日本シングルがからまない試合は適度に興奮と冷静さがコントロールできている会場の雰囲気でしたよ。本当に好きな人が集まってた。
・ワールドって一年の総決算だからやっぱり卒業式みたいな雰囲気になっちゃうんだね。今回、トリノで悔しい思いをしたペアとカップルがここで引退と決めて優勝したから特にそんなことになっちゃっただけなのかもしれないけど。
・今気付いたけど全ての競技の金メダリストはトリノで悔しい思いをした人たちだったのでした。
・みんなよかったなあ。本当はトリノで引退するつもりだったのにこの一年辞めないでよく頑張りました。
・といえるのはペアとダンスだけで、シングルはあっという間に世代交代と時間が進んでしまっているのですが、早過ぎやしませんか。でも、毎回オリンピックシーズンの次の年ってこんな感じでしたっけ?いや今回は特に顕著だった気が。
スウェーデン男子来年2枠でよかったですね。あの演技もよかったです。ドイツもチェコも2枠もって帰れて来年ユーロ圏開催だからよかったですね。と思ってて、日本とユーロ圏の枠が増えたことを喜んでいたのですが、そうなるとどこかが減らしているわけで、どこだろうと思ったらロシアとカナダだった。ロシアの男子1枠って去年までは考えられなかったよ…カナダはバンクーバーまでになんとかするんだろうけどさ。
・ロシアのペアも枠減らしてるし、女子も1枠だ…ちょっとびっくり。予想されていたこととはいえ、実際にそうなるとサッカーでブラジルが弱くてワールドカップ予選敗退みたいな気分になるね、これ。
・北米勢とロシアはとにかく不調だったねえ。ロシアの表彰台なし、カナダ・アメリカはダンスの銀と銅のみってねえ。男子は北米の誰かが表彰台にあがると思ってた。女子もキミーは3位にはくるかもなと思ってた。