集団心理アレルギー

私はサッカースタジアムでの宗教的な陶酔というのが苦手で、基本的に何をやるにも一人で行動しますけど、あの場で声も出さずに一人でいるというのはサポとして割と嫌がられる行為なんですよね。しかも私、見た目はどっからどう見てもギャルサポだからさ、若手でちょっと見かけがいい誰かの追っかけなんだろ、的なそういう目で見られる迫害もある。なので、サッカーやチーム自体は好きだけど、妙にスタジアムには行きにくい。サッカーという競技自体は自由度が高いのに、応援はなんであんなに不自由になってしまうんだろう。努力してあのスタイルに馴染もうとしたけどやっぱり無理なんだよね。チャントなんか聞いてる分には楽しいんだけどね。強要されたくないんだよね。喉が弱かったり色々あるんで、そんな騒げないんだよね。そういう事情を持つサポに対して基本的に冷たいよね。
それでもうちはまだ全然フリースタイルな方なんですけども、あそこね、埼玉の赤いチーム、あそこの人たちの宗教度といったら、そこらへんのカルトは普通に超えてるから腫れ物には触りたくない感じで見てますけどもね、今カテゴリー違うし自分があそこのサポでもないし直接は接点ないからとりあえずいいんですけどね。
そんな今、漠然と不安なのが、フィギュアスケート会場で他サポ(他選手ファン)から赤サポ的扱いを受けつつあることを感じてね、別に私はチームカラーまとってたりダンマクやゲーフラ的なもの持っているわけじゃないからばれないけどさ、私は赤サポじゃない!と嫌な気苦労をしてしまってね、それでちょっと試合とか観に行きたいけど気が重いみたいなところがあって。赤サポ的な陶酔を味わってそれが心地よいんだろうなあというのもわかるんだけど、ウルトラスからは私は自由でいたいというかさ、そもそもサポーターじゃなくてフーリガン化してないか?と思うような行動や言動もちらほら目についたり小耳に挟んだりしてね、ファンがフーリガン化して一番誰に迷惑がかかるかってそれは私たちが応援している選手にでしょう。ファンだったら何をしてもいいかといったらそうじゃないし、愛があったら大目に見てもらえるなんて認識していたら勘違いどころか犯罪まで行き着くことも多いでしょう。でも、それに本人がどう思っていたとしても選手自体が文句を言える状況でもないでしょう。喜んでいる可能性はもちろんあるけど、それと同等にきつく感じている可能性もある。
フィギュアスケートを生観戦するようになって驚いたのは、ファンと選手の間の距離が異常に近いことで、これはこの競技の伝統なのか、ただ単に爆発的にファンも注目度も増えてしまって対応しきれていないのかよくわからないのですけど、ここまで近いと逆にファンの方が自制して常に距離をとることを意識しないといけないなあと私は思うんです。
昔、テニスでモニカ・セレシュが試合中に背中を刺されたことがあったでしょう。私、今の会場に身を置いたり見ていたりすると、ものすごく嫌な展開を想像することがある。
集団心理で宗教的な陶酔を味わってそれが癖になるというのは、そういう人たちと身近に接してきたからわかるんです。でもねえ、それをもっともっとと欲望の赴くままに追い求めると最終的にどうなるかって破滅が待ってるだけなんですよ。
だから老舗の宗教は戒律とか修行とかのメソッドをしっかり構築しているわけで。
女子のアレなファンが急増して会場での一般ファンの撮影禁止という措置がとられるようになったけども、男子のアレなファンがアレなまんま暴走すると、今まだギリギリ保たれている選手との交流コーナー全面禁止になるんじゃないかなと思って(男は女を視覚で感じ、女は男を触覚で感じるとかいう言説ありますよね)、選手の安全のために規制が増えるのは、それまで牧歌的にやっていた世界に侵略者が乗り込んできたための必死な防衛手段でありますから、その流れに乗って生観戦するようになった人間が言うのもなんですけど、なんだかしのびなくなります。係員に制止されたらプレゼントはプレゼントボックスに入れるくらいのことすらできないのかと。係員が制止するっていうことは危険だと判断したということでしょう。自分の欲望を走らせる前に選手の安全を確保したいという理性くらいは持ち合わせたい。
選手が強くなり競技の注目度が増すならファンも成熟しなければならない。これ、日本サッカーの成長過程でちょっと前によく言われていたけど、サッカーはそれなりにファンは成熟してきて(各チームサポの内輪ではどこも色々あるんでしょうけど)、あと成熟するのはフロントや協会やマスコミという段階ですよね。
一概にサッカーと一緒にくくることはできないけども、選手自体は全然悪くないし応援したいし、生で見たいのに、会場に行きたくないなあ、という気持ちが、ちょっと私に芽生え始めていて、参ったなあというのが今現在の私の本音であります。とりあえず一人観戦で他サポと隣り合わせて、誰のファンか聞かれた時にとっさに名前は言えないなあっていう。一人観戦のコアサポは多かれ少なかれそんな気持ちを今持ち合わせているのではないかと思います。