わたしの中2病

女の中2病ってあんなんなんだ…と「小さな悪の華」を見た男性陣がこぞって呟いていて、それに、え、知らなかったんだ?とびっくりして、どうやらギャグとかネタとして言ってるわけじゃなくて本当に女の中2病を男の人は知らないんですね。勉強になりました。
折原みとりん*1を読む一方で与謝野晶子やべえ!額田王キテる!和泉式部アツい!とやってた自分の女の中2病だと思われる行動を心持ち恥じらいながら告白してみたのだけど、それはまた中2病とは違うんだって。与謝野晶子フェミニズムだろう、とか、額田王だの和泉式部だのに感化されて国文いって本気で研究したんならそれは中2病だったのかもしらんけどあんた違うじゃん、とか、軽く総ツッコミ受けて、私のそれはどうやら直球中2病じゃなかったみたいなんですよ。ちょっと驚きました。リアル中2でフェミニズムって中2病じゃないんだ…自由民権運動とか大正デモクラシーって響き自体にクラクラしてたし、平塚らいてうの「原始女性は太陽であった」に至っては確かそらんじてたよね…今もう覚えてないけど。そうやって考えてみるとそれはその当時の私が自民党の派閥の名前を覚えたくて竹下派経世会、宮澤派=宏池会、とかノートに書き付けていたのと一緒のようで、中2病エッセンスとフェミニズム嗜好と選挙好きが合わさってるやっぱり今思うと根っこの部分はそれほど現在の私と変わらんおかしな子だ。自分であんまり自分のことおかしいと思ってなかったのがこの子の最大の悲劇だったってだけな気がする。あ、でも石川啄木ごっことかやってたよ!啄木小公園のあたりで「東海の小島の磯の白砂に 我泣きぬれて 蟹とたはむる」をつぶやきながら砂つかんではさーってたらしてた。当時の大森浜にはもう蟹なんかいなかったけどな!夏休みで部活もない日に遊んでくれる人いないから一人で自転車こいで山の方にある家から緑の中を駆けぬけつつわざわざ海までいってやってたんだぞう!*2これは中2病だろう!こうやって振り返ってみると、中学生時代、私は短歌(和歌)が相当好きだったみたいね。
折原みとりん読んで与謝野晶子だの平塚らいてうだの大正デモクラシーにかぶれてみて額田王だの和泉式部だの上代平安時代の才色兼備の女性にシビれてみてる他にこの人中2の時に岡崎京子フリッパーズ・ギター電気グルーヴに出会ってそういう方面にもズブズブいってんですよ。マイバースデーも読めばオリーブもMCシスターもPeeWeeもパチパチもGBも読み、一方で週刊文春週刊新潮も欠かさず、気が向けば文学界まで立ち読み、ついでに吹奏楽部で週7で12時間くらい学校にいてコンクールの自由曲に練習してたのはベルリオーズ幻想交響曲だしピアノも習ってるし、とりあえず過剰だということだけは今振り返って気付いた。今か。今気付くって遅過ぎだろ。
でも、与謝野晶子額田王和泉式部が好きだったことをふと思い出して、やっぱり女の自立ということについて考えていたのだなあと。当時は気付いていませんでしたが、こういう女性達に自己投影をしていたのだから、自立した大人の女性になりたいという願望が見え隠れしてますね。あれですね、経済的に自立することがまず大事だと思っていたけどそうじゃないね、精神的に自立していたら経済的には誰かに頼ることになってもその人は大人だと、久々にこの3人の名前を出して何が共通してるのか考えて気付いた。経済的に苦しくなって体力的にもふんばれないのなら、無理しないで頼れる人に頼るのが、そして頼れる人がいるのが大人だと思った。一時は他の人に頼っても、しっかりしてきたら今度は頼られればいいんだから、別に長い目で見たら後ろめたく感じる必要ないんじゃないの?と。経済的にも精神的にも自立しているのは大前提として、優先順位としては精神的な自立の方が上かなあと思います。これ、経験者談なんですけど、精神的な部分を確立してないと共依存に陥りがちだと思うんです。与謝野晶子は自分で食い扶持稼いで旦那と子供養ってましたけど、額田王とか和泉式部はそういう時代ではないのに自我を確立していた女性で、だから当時の私にはとりわけ魅力的だったのでしょう。中2は親に養われなければうまく生きていけない、その状況がまた嫌なのだけど逃れることもできず、みたいな気分の中で必死にロールモデルを見出したんじゃないのかなあ。精神的に自立していれば養われていてもその人物は充分に自信に満ちていて魅力的だ。そのことを言語化できるまで15年以上かかってしまった。
額田王はともかく、和泉式部が好きつうのは、紫式部派?清少納言派?と質問された時(これどういうシチュエーションで質問されたんだろう?やけに覚えてるんだけど)いや私は和泉式部派です、とこたえていたのが、特に思い入れもないのにあえてそこを狙う中2病ぽい言動だなあと自分で勘違いしてしまっていた。本当に何の衒いもなく和泉式部の生き様が好きだったのにねえ。恋に生き詩歌文学に生きた才色兼備の女性にとにかく憧れていたんだろうねえ。

*1:公式サイトあった、今でも一線で活躍中みたいでびびった→http://www.mitorin.com/

*2:こういう原風景があるので「小さな悪の華」や「エコール」でみられる森の小径を少女が通り抜けるという風景にグッとくるのです