沈黙から10年後に生まれて

父が狐狸庵先生ファンだったため、遠藤周作を読みふけっていた活字中毒の女子高生でした。父は狐狸庵先生シリーズしか興味がなかったようなので、小説は自分で買って読んでました。狐狸庵先生と遠藤周作と信仰の関係についてのバランスがずっと気になっていた女子高生でした。修学旅行で一番テンションあがったのは長崎の空港からハウステンボスまでの間、天使の梯子が車窓から見えて「『沈黙』の世界だ!」となった時です。そっからハウステンボス→京都→TDLと進むにつれテンションダダ下がりで周囲と軋轢生みまくってました。なので他人にはどうでもいいニュースかも知れませんが、個人的に衝撃が大き過ぎたため、ちょっと貼らせてもらいますよ。

遠藤周作、修道女に「沈黙」の主題予告 未公開書簡発見
http://www.asahi.com/culture/update/0829/TKY200908280457.html

作家遠藤周作(1923〜96)が、修道女となった慶応義塾大学文学部時代の同窓生にあてた未公開書簡6通が見つかった。肺結核で闘病生活を送っていた60年から、代表作「沈黙」(66年)を発表した翌年にかけてしたためられたもので、キリスト教的テーマなど遠藤文学の本質にかかわる記述がある。書簡は「三田文学」秋季号(10月10日発売)に全文が掲載される。

 手紙をあてたのは、大学卒業後、北海道・函館の白百合学園修道院に入った松井千恵さん。周作はフランスに留学していたため、松井さんが修道女となったことを知らず、帰国後、旧交を温めた。

 入院中だった周作は〈あなたのお手紙がどんなにぼくを慰め、励してくれましたことか。(略)どうしても書けず困っていたのですが、急に光がさしたように何か書けそうな気がしました〉(61年10月22日付)と心を通わせる。

 また、63年ごろの書簡には〈神は語らぬが全(すべ)ては神について語っている〉という意のフランス語の文言を引いた上で、〈この「全て」toutを小説家は描かねばなりません。日本のなかで一見、神の在(な)い(原文ママ)ようにみえるどんな小さなものも、神を必死で求めていることを浮びあがらせてみたいと考えています〉と書き、「沈黙」で取り組むテーマを予告している。

 さらに〈大学時代、うすぎたなかった小生は小説を書くより能がなく、結局、この一すじの道で、あなたのような美しい人生に交錯できると思うと、それは嬉(うれ)しいことです〉と続け、作家としての覚悟と聖職者への敬意を記す。

 「三田文学」編集長で作家の加藤宗哉さんは「相手が修道女ということで、普通では言わないような宗教の問題を書いている。『沈黙』のポイントを打ち明けている点も貴重。小説家になる者の心構えと、自分とは遠い、清らかな世界にいる修道女へのあこがれが率直につづられているのも感銘深い」と語る。(小山内伸)