やれることをやるだけさ

だからうまくいくんだよ、ってみうらじゅんが書いてた。

アイデン&ティティ 24歳/27歳 (角川文庫)

アイデン&ティティ 24歳/27歳 (角川文庫)

シェイクスピアがイタリアを舞台に書いた物語を(ニューヨークを舞台にしたブロードウェイミュージカルに翻案したものの音楽を使って)フィギュアスケートに翻案したものを見て感動していた私は、30日に日本人がシェイクスピアを翻訳して日本人が演出して日本人が演じる舞台を見に行きますよ。
上の文章が大変な悪文になったのは全て他人のせいにします。あの実況はないだろ、実況している人間が『ウエストサイドストーリー』の元ネタは『ロミオとジュリエット』だと知っていることはわかった、が、そこで演じられているのは『ウエストサイドストーリー』なのだから、そういうこと言いたいなら()内の要素は省いちゃならんですよ。だってあの紹介だけなら『ロミオとジュリエット』の紹介になっちゃう、これから滑る曲と違う曲になっちゃう。無理やりイタリアにこじつけたいなら()内もどうにか工夫して入れないとレベルはとれません*1。というか規定違反と要素抜けでディダクション1,GOE-3確定。

・・・

もともとは今年のフィギュアスケートシーズン終ったら、蜷川幸雄の舞台見に行くんだ、ってずっと思ってた。ピナ・バウシュ(とヴッパタール舞踏団)も見に行くんだって思ってた。ゲルギエフの演奏会も行くんだって思ってた。思ってるうちにピナ・バウシュは死んじゃった。ゲルギエフは五輪閉会式でよりにもよって『1812年』(フランス系住人も多い国でこの曲チョイスするロシアセンスに戦慄)振ってやがってあと一日帰るの遅ければ現場にいられて早々と目標達成ということになってた。蜷川幸雄ベジャール追悼本でいかに自分が藤原竜也を愛しているか、ということを原稿の下にその心を隠しているゆえにより一層痛ましくなるラブレターを書いていたので、いったい具体的にどう愛しているのか見たくなっていた、ので『ムサシ』のチケットとってみたはいいんだけど、原作が井上ひさしって気付いてなくて、私、井上ひさし三谷幸喜の笑いのツボにハマったことがなくて困ったので無理やり今さいたまでやってる『ヘンリー六世』のチケットもいそいで入手した。

彩の国シェイクスピア・シリーズ第22弾『ヘンリー六世』
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/p0311.html
入手してから気付いたんですよ、これ、上演時間とんでもないことになってるって。

『ヘンリー六世』の上演時間について

13:00 前編開始
〈休憩15分〉
16:45 前編終演
〈大休憩 60分〉
17:45 後編開始
〈休憩15分〉
21:10 後編終演

それで思い出したんですよ、『ヘンリー六世』って新国立劇場でもやってて、そっちが9時間とかで二つの大作『ヘンリー六世』みたいな話題あったことを。

演劇「ヘンリー六世」|新国立劇場
http://www.atre.jp/henry/

ぽつぽつ話題にはなってたけど、今拾えるのはこの記事あたりかな。

さいたま芸術劇場:「ヘンリー六世」上演 演出の蜷川幸雄新国立劇場版に対抗
 ◇15周年記念 2部構成に凝縮、より面白く

 さいたま市彩の国さいたま芸術劇場が開館15周年を記念して、11日からシェークスピアの史劇「ヘンリー六世」を一挙上演する。演出は芸術監督の蜷川幸雄。「言っときますが、僕たちの舞台の方が面白いし、分かりやすいと思う」と、東京・新国立劇場が昨秋に上演した「ヘンリー六世」に対抗心を見せる。【高橋豊】

 シェークスピアが初めて書いた戯曲「ヘンリー六世」は3部構成。「百年戦争」と「薔薇(ばら)戦争」を主軸にして15世紀の“戦わぬ王”をめぐる人々を描く。

 新国立劇場版は小田島雄志訳、鵜山仁演出で、3部を計9時間で上演した。読売演劇大賞グランプリなど、各種の演劇賞を受けた。

 さいたま芸術劇場版は、松岡和子の訳を河合祥一郎が2部構成とし、計6時間に凝縮して上演する。

 同劇場は1998年、「彩の国シェイクスピア・シリーズ」をスタートさせた。今回は第22弾だ。蜷川は「僕はシェークスピア作品の中で歴史劇には興味が持てず、後回しになっていた。でも、今回は、松岡さんの完全訳を河合さんが怜悧(れいり)な鎌で再構成することに、2人とも同意してくれた。英文学者がここまでやってくれるなら、と舞台化を決意した」と語る。

 舞台セットが客席に挟まれる形になるのも、新国立劇場版と違うところ。民衆の代表者として、高齢者演劇集団「さいたまゴールド・シアター」の4人も登場させる。「戦火が何を民衆にもたらしたかを考えると、その後始末を黙々と続ける人たちも出したかった」

 上川隆也がヘンリー六世、大竹しのぶが王妃マーガレットとジャンヌ・ダルクの2役、高岡蒼甫が後のリチャード三世を演じる。池内博之長谷川博己草刈民代吉田鋼太郎瑳川哲朗らが共演。

 「上川さんはナイーブな役柄をよくやってくれていますが、僕は珍しく、けいこ場で激しくダメを出しています」と蜷川。「しのぶさんは多彩な演劇の楽しみを見せてくれる」
(以下略)

http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20100308dde012200020000c.html

私は演劇のことはよくわかりませんけど、文学はやってきたので、翻訳者が誰か気にして記事をみていました。
大学生の時に、シェイクスピアは小田島訳か松岡訳かで演劇男子学生と文芸女子学生(私)でおもいっきり喧嘩したことを思い出し、日本語でやるシェイクスピアなら私は絶対松岡訳を使ったものが見たい、とその時に言いきったことも思い出しました。それから10年以上も経って、まわりまわって勢いでチケットとってみたらそれが実際に松岡訳ヴァージョンであり、それが私のシェイクスピア演劇ヴァージンを捧げる相手になったことがとても嬉しい巡り合わせであります。また、一つのホンを巡って大げんかをできる大学生であったこと、それを当然としていたことが、懐かしく誇らしくもあったりします。

ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19)

ヘンリー六世 シェイクスピア全集 19 (ちくま文庫 し 10-19)

*1:そもそもウエストサイドストーリーにだってイタリアの要素はあるのだからシェイクスピアまで遡る必要などなかった