船出

今年の全日本選手権での安藤美姫の「マイウェイ」は、リレハンメル五輪でのカタリナ・ヴィットの「花はどこへ行った」に並ぶ素晴らしいものでした。目の前の試合だけではない膨大な勝負、それに対する挑戦、その芯にあるシンプルなメッセージに心打たれました。私が最初に名前を覚えたフィギュアスケーターはカタリナ・ヴィットなので、カタリナ・ヴィットの周りで花を拾う女の子になりたくてスケート靴持って「なんでフィギュアスケート習えない田舎に住んでるの」と暴れていたので、安藤美姫のパフォーマンスを見て子供の頃の私みたいになってる子がどこかにいたらいいなと微笑みながら泣いてしまいました。
男子は、表彰台通りソチ五輪代表選ばれたらいいなと個人的には思ってましたけど、それはそれとして、3季前のワールドシルバーメダリストが実績足りないと見なされてしまう状況って誰にとってもタフな戦いであったと思うので、このシーズンを戦い抜いたことは全員誇りにしてこれからの人生を進めてほしいと願っています。

どんな人間であってもシンプルなメッセージを伝えるためには壮絶な戦いが必要なのだと思います。シンプルであればあるほど難しい。でも、そんな戦いに怯んで彼ら彼女らに何か言うことなどできないので、私も私のペースで自分に負けずに戦って行こうと改めて足元を見つめ直しました。彼ら彼女らの目を見てしっかり気持ちを伝えて恥ずかしくない人間でありたいと、これからも精進していきます。