撤退の勇気

ここのところだましだまし仕事をしていたのですけど、どうやら本格的にダウンしそうな勢いなので、数日ほどお休みいただくことにしました。
季節の変わり目で弱っている所に精神的に落ち込む要因が重なって、しんどくても大丈夫だとごまかして行くと後々大怪我してしまうことが経験上わかってきたので勇気を出してお休みいただきました。もう少し休んだら詳しいお休みの理由をチームの人に伝えよう。
阪神大震災の日って1月17日なんですけど、3年前のこの日に私は初めて同世代の友人を亡くしまして、その事は私だけでも忘れないようにしていたいと思っていたのに1月17日を数日過ぎてから思い出した、という自分にがっかりしたり、4年前の2月6日深夜(2月7日早朝)に私は殺されかけて(飛びかかられ三角絞食らい落ちたか落ちかかったか、で、そのまま首根っこつかまれて家の柱の角に頭を何度も何度も何十回も打ち付けられ続けた、ところどころ記憶飛んでるけどおおまかにいうとそんな感じ)その後に家出したんですけども、私はあの時家出してなかったら遅かれ早かれ殺人事件の当事者になっていたのかなあと思うと、やっぱり他人事ではないような事件が多く、電車の中吊り広告の見出しで下世話に舞い踊っている単語に自分の人生を収斂されたら嫌だなあと思ったり、その割に今自分がやっている仕事はその片棒担いでるのではなかろうか、と矛盾に苛まされたり、でも他の人がその仕事をやるよりまだ私がやった方が少しでもマシな世間への見せ方ができるかもしれない、と鼓舞して(あとまあ休むと収入面でも痛いので)年末年始からここまでやってきたのですけども、ちょっと本格的にこれは一旦休んだ方がいいかもなあ、と決断させていただきました。

具合が悪いながらも私は「書きたい」と思ってて、ちょっとでも体力か気力があったらブログのエントリをあげてたんですけど、他のことを書きながらもずっとバラバラ事件のことを書きたいと思ってて、でも余裕がなくて、今やっと書くことができるようになりました。誤解やミスリードを誘わない文章を書くための余裕が今までありませんでした。

引用するのに適切な記事はたくさん読んだんだけど、もうほとんどwebから消えてるなあ。
とりあえずここらへん引用しておきます。

遺体切断、長期のDV引き金か・歌織容疑者
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070113AT1G1203O12012007.html
 東京都渋谷区の米証券大手「モルガン・スタンレー」グループ会社社員、三橋祐輔さん(当時30)の切断遺体が見つかった事件で、妻の歌織容疑者(32)=死体遺棄容疑で逮捕=が、一昨年6月、祐輔さんから暴力を受けたことを警察に相談していたことが12日、警視庁新宿署特捜本部の調べなどで分かった。祐輔さん殺害を謝罪する供述はしていないという。

 歌織容疑者は昨年夏にも鼻に大けがをする暴力を振るわれた旨の供述をしていることがすでに判明。同本部は度重なる暴力など、長期にわたる夫婦間のトラブルに耐えかねた末の犯行とみて調べている。

 同庁によると、歌織容疑者は一昨年6月下旬、祐輔さんから暴力を受け、目黒区内の病院に運ばれた。病院から連絡を受けた目黒署員の事情聴取に「夫から暴力を受けた」などと説明したため、同署員は傷害罪か家庭内暴力(DV)での被害届の提出を勧めたが、夫の立場などを考慮して届け出はなかったという。

収入レベルはともかくとして、私も歌織容疑者と似たような日常生活を送っていたので、この人のストーリーは途中まではシンクロするんです。病院いって警察いってその後彼女は施設に逃げ込んだけど、私は運良く友達がかくまってくれた、そこから人生の流れが変わってしまっているのだろうなと思います。
身体はなんとか逃げて休まっても心の方の呪縛は解くの大変だと思うんです。DV関係って一種のマインドコントロールが起きているから。
私は本当にその点運が良くて、相手方が揺さぶりをかけてきて私が揺らいでも支えてくれる友達がいて、実家にも脅しをかけられまして、なんかそんで実家も揺らいでたんですけど、揺らがない第三者の友達や知り合いが沢山いたから、自分で殺していた部分を取り戻しつつ生きる力を戻してくることができたのですけど、そういう状況でも結構しんどかったので、支えになる人がいなかったりわからなくなると殺すしかない、と煮詰まってしまうのもわかるような気がします。そもそも誰を信用していいかわからなくなるし。少なくとも私は誰のいってることをきいていいのかわからなくなって混乱しました。
でも殺意に関しては、あくまでも「わかるような気」でしかなくて、もっと切実に迫ってくるのかと思ったら、他人事として一線を画してとらえている部分があったので、私のこの4年は無駄じゃなかったなと感じられました。あの時点でまた同じ生活に戻ったとしたら私も人殺しをしていたか、殺されていたのかもしれないのだけども、その生活には戻ることがなかったので、うすぼんやりとした想像でしかとらえることができません。

ただ、こちらの問題は切実に今自分の身にまだのしかかってます。

DV被害者、自立は困難…3人に2人が月収15万未満
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070129it06.htm
 配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV)を逃れるため、自立を目指している人の過半数が、必要な生活費に困っていることが、29日発表の内閣府の実態調査で明らかになった。

 配偶者と別居した後も、電話がかかってきたり、待ち伏せされたりするなど「追跡」された経験のある人も半数を超えている。DV被害者を対象にした内閣府の調査は初めてで、多くのDV被害者が経済面や生活面で不安を抱えながら自立を目指している実態が浮き彫りとなった。
 「配偶者からの暴力の被害者の自立支援等に関する調査」は、昨年10〜11月に実施された。都道府県が指定する配偶者暴力相談支援センターや民間シェルターなどに対し、相談を寄せた6631人への質問票の配布を依頼し、799人が回答した。
 相手から自立して生活する際に困ったことを複数回答で聞いたところ、「当面の生活をするために必要なお金がない」が54・9%で最も多かった。さらに、「自分の体調や気持ちが回復していない」(52・9%)、「住所を知られないようにするため住民票を移せない」(52・6%)が続いた。
 経済面の困難に関連する月収については、回答者の35・3%が「10〜15万円未満」、21・7%が「5〜10万円未満」、9・5%が「5万円未満」で、全体の3分の2が月収15万円未満で生活していた。
 一方、相手から「追跡」された経験の有無を尋ねたところ、54・7%が「ある」と回答した。追跡の具体的内容(複数回答)は、「電話やメール、手紙が来た」が62・3%、「実家や友人宅に現れた」が54・3%、「待ち伏せされた」が36・5%だった。
 調査結果について、内閣府男女共同参画局は「DV被害者は様々な困難を抱えており、経済面を含め、幅広い支援策を考える必要がある」と分析している。
(2007年1月29日14時17分 読売新聞)

身に覚えのあることばかりで(私の場合は配偶者ではなく同棲相手でしたけども)、月収もこの記事にあるくらいなんですけども、だって行動にも体調にも制限がかかってしまうから、しょうがないんだけども、私は子供がいないからその点逃げ場として探し出して半ば無理矢理転がり込んだ家賃の安い風呂なしアパートで安月収でもなんとかやっていけてるからいいんだけど、こうやって苦労してる人は自分だけじゃないんだなあと思ったら泣けてしまって、自分の境遇が、というより、今まで調査がなかったのか、という行政の怠慢だとか、子連れの人は本当に大変なんだろうなあ、という同じような身の上の人たちに対する同情じゃないけど、なんて言えばいいのかなあ、あんた頑張ってるよ、とかそういうエールを送る、みたいな感情?自分だけじゃないんだもっと同じような人がいっぱいいるんだ!みたいな、傷のなめ合いという言葉よりはもうちょっと高尚な気持ちを持って接している感じで、でも自立して安月収だけど自分の稼ぎで生きる気楽さもあるし、とにかくよくわからない感情がこみ上げてきて泣いた。

そして、私は両親にこんな手記を書かせたくないなあと思ったよ。こっちはこっちで私がおびえてたほかの問題を抱えているので今回はあまり触れませんけども。

短大生バラバラ事件の両親が手記
http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20070125-146844.html
 東京都渋谷区の短大生武藤亜澄さん(20)が切断遺体で発見され、殺人容疑で兄の歯学予備校生勇貴容疑者(21)が逮捕された事件で、両親が24日、「亜澄の死亡と二男の凶行とがどうしても結び付かず、苦しみ悩んでいる」などとした手記を弁護士を通じ発表した。
 手記はA4判用紙2枚。亜澄さんと勇貴容疑者の関係について「険悪ではなかった」と説明する一方、「亜澄の他を顧みない性格と言動は家族から理解されていなかった。亜澄の生活態度を見ているうち、勇貴は、妹が両親を悩ます元凶と思い込むようになったのではないか」とつづっている。(全文は次の通り)
 このたびは息子勇貴の事件によって、世間のみなさまに対し、大変なご心配をおかけしお騒がせ致しましたことを、紙面をお借りして心よりおわび申し上げます。
 私ども家族にとりましては、事件を知ったこの正月三日から今日まで、正直申し上げ、どのくらいの日時がたったものか、正確には考えられない精神状態でございます。
 娘亜澄の死亡と二男の凶行とがどうしても結びつかないということが、私ども家族の苦しみ悩むところでございます。家族でさえこの状況でありますから、世間のみなさまにはご理解できないことはなおさらのことと存じます。
 事件から約二十日がたち、警察のお調べが進むにつれて、事実については少しずつ解明されてきていますが、なぜ息子があれほどまでの凶行をしてしまったのかという点につきましては、いまだに理解できないのです。
 しかし、時間の経過に伴い、おかげさまで少し落ち着いて考えることができるようになりましたので、現在の心境を少ししたためさせていただきます。
 そこでまず、亜澄と勇貴の関係についてですが、「三年間も口をきかなかったような冷たい関係」と報道されていますが、それは若干事実と違います。亜澄が在籍していた短大の入学についても、勇貴が懸命にパソコンで探し当て、やっと入学期限に間に合ったという経緯からも、兄妹の関係は決して険悪というものではありませんでした。
 しかし、亜澄の他を顧みない自由奔放な性格と言動は、家族から理解されていなかったのは事実です。こうした亜澄の生活態度を見ているうちに、亜澄と一歳しか違わない勇貴は、妹が両親を悩ます元凶と思い込むようになったのではないかと思います。
 また勇貴の性格ですが、優しく、家族に対し暴力を振るったりするようなことは一度もありませんでした。しかし、残念なことに、妹の亜澄は大変気が強く、絶対と言っていいくらい自分から非を認め謝るということのできない子供でした。
 とはいえ、二人とも私たちにとっては掛け替えのない子供たちです。今となっては、なぜあの時、亜澄が「ごめんなさい」と兄に謝ってくれなかったのか、もし、謝ってさえいてくれれば、兄も我に返り、このような凶行に至らずに済んだのではないか…、と今更ながらせん無い繰り言を繰り返す日々でございます。
 今後私ども夫婦は、生涯にわたり亜澄の霊を弔うとともに、勇貴が一日も早く更生できるように支え続けたいと考えております。
 どうかみなさま、私たちがもう少し心の余裕が持てるまでお時間をいただきたく、伏してお願い申し上げ、本手記をお届けさせていただいた次第です。
 平成十九年一月二十四日

バラバラにした歌織さんもバラバラにされた亜澄さんも私の人生からはそう遠くなくて、同級生にいた感じの人であるなあとも思って、私の育ったクラス(階級)の話だなあと思うのですけど、なんか私はそこには行かなかったんで、命を大切にしたいと思いました。私は長生きしたいです。「死ね」とか簡単に言える人間だった頃が思い出せないくらい、ここ数年で「命」とは直面した気します。