チャイコン初見でひきずられたものいろいろ

アナリーゼまではいけないだろうから感想をつらつらと書きます。
チャイコン、ギリギリに削っていたものを2分50秒でおさめるために更に切っちゃったからあんな編集になってしまったのかなあ。私はチャイコフスキーやヴァイオリンにそれほど思い入れのある人間でもないしそれほど詳しくもないのでギリギリ許容範囲でしたけど、ユナ・キム(キム・ユナ?ヨナ・キム?キム・ヨナ?ヨンア・キム?キム・ヨンア?どの表記がいいのかまだわからん)のロクサーヌに高橋ファンは何も文句はつけられないなあとは思います。ユナ・キムは振り付け師トム・ディクソンだっけか。私、高橋ファンで由希奈ファンだという点からお察しできるとは思いますがユナ・キム好きです。かなり好きなタイプのスケーターです。

リザルト追ってて、うわうわうわと思って、その数時間後(すごいよね、こんなに早くどんな演技か地上波で確認できるなんて去年までじゃ考えられない)本当に最初に見た時は、最初の方からずっと手のしなり方が指揮者、それも相当なマエストロのそれに見えました。サーキュラーの最後の所でウエスト・サイド・ストーリーの踊りみたいに跳ねるでしょう、あそこ見てて、バーンスタインを思い出した。それで私が憧れてやまない「男の子」の顔をしてるなあと思って、うらやましくなりながら笑顔でずっと見てた。バーンスタインの指揮を見ていると、ああ本当にこの人は音楽と人間を愛してるんだと思って、その包容力と温かさと愛情を感じて心が震えて泣きそうになりながらも顔がほころんでしまって結局笑ってしまうんですけども、あの感覚でした。
参考画像:チャイ5を振るバーンスタイン

http://www.youtube.com/watch?v=2pypUXtDgX0
そして、ああそうか、チャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトはニ長調だもんなあ、長調だから笑えるんだなあと思った。
・私とバーンスタインPMFのコーナーを突然に。
昨日、夜の7時から教育テレビでPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)の特集やってたんです。PMFって私が中1か中2で吹奏楽部でクラリネットを吹いていた頃に札幌で始まったイベントなんです。それで札幌にバーンスタインがくるっつうのでやたら北海道のマスコミは大騒ぎしてて、テレビで特集なんかもやってて初めてその指揮を見たんです。
私はピアノこそ生半可な気持ちでだらだらと5歳から続けてましたけども、オケに常駐してる楽器を触りだして間もない頃で、オケの指揮者ってみんなカラヤンみたいな振り方するんだと思ってて、つまんないなあ、と思いながら漫然と、でもちょっとでも失敗するとものすごい怒られたりいじめられたりするからとりあえず必死に練習してて。クラシック音楽が楽しいものだってわからなかったんです。
そういう時にバーンスタインの指揮を見たから度肝を抜かれて。ああ、クラシック音楽も楽しいんだって、びっくりして。来年はこの人を生で見たいなあ、札幌までいきたいなあ、ってすっごいびっくりしながら思ったんですけど、バーンスタイン初夏に札幌にきてその年の秋に亡くなってしまったんです。またまたショックで。強豪校の吹奏楽部員にとって初夏から秋って他のことやる暇ないから、コンクール終わってやっときちんと調べられる、と思った矢先に、私、ニュースステーション見てて知ったと記憶してるんだけど、呆然としちゃって。
それで高校進学してまた私は、中学の先輩に拉致されてしまったので入部したんですけども、先輩は絶対だからヤケクソ気味に腹括って練習参加してたんですけど、その年の自由曲が「ウエスト・サイド・ストーリー」よりシンフォニック・ダンスだったんです。ああバーンスタインの曲だと思って、顧問の先生の指揮もなんかそれっぽくて、こんな田舎でもこういう指揮する人いるんだと思って、客席から見てる指揮者と演奏者が見る指揮者って当然違うからさ、一瞬だけ虚をつかれたような顔してたら怒鳴り飛ばされるんだけどさ。楽器がお留守になってたから仕方ないんだけどさ。
それからはまあ忙しすぎて色々あり過ぎてまとめるのめんどちいから省略しますけども、昨日見た特集でね、PMFのメンバーが芸術の森で練習してたのね。その風景が、とても懐かしくて、全国大会まであと一歩って所までは行ける学校だったし、そのために最後に練習していたのはいつも芸術の森だったし、でも今はもうあの場所に行けないんだなあと思ったら、ちょっと涙ぐんでしまって、合奏前の音出しのてんでバラバラな音の洪水がとても懐かしくて、あの部屋のにおいとか湿度とかどうしようもない皮膚感覚で蘇ってきてね、最終日にゲルギエフの指揮でストラヴィンスキーペトルーシュカPMFオケが演奏することになってて、そこに至るまでの過程が、もちろん彼等は非常にハイレベルなんですけど、私の経験と重なる所も少なくなくて、あの板の上に乗れている人らが楽しそうで幸せそうで、このフェスティバルはきちんとバーンスタインの想いを受け継いでるんだと思ってうわあってなった。気づけば私は自分の所属する楽団の一番忙しい時期とPMFの開催時期がかぶっていたから中2の時から行きたがっていたPMFに一度も足を運ぶことなくこの年まできてしまったなあ、というか北海道からもクラシック音楽からもしばらく離れていたなあと。クラシック音楽を本当に心から聴衆として楽しめるようになったのはここ数年だ。

バーンスタインの手頃な指揮動画あるかなあと検索してたら見つけた。Bernstein & Glenn Gouldって!グレン・グールド、指長!親指うらやましい!

http://www.youtube.com/watch?v=AVODxskoHFQ

そうそう、のだめでさあ、千秋がSオケ初めて指揮した時にクラリネットにプイプイ言わすなって注意するじゃん。あれ、リードミスのこと指してるんだと思ってたら、ドラマでそのシーン見たらリードミスしてないのよ。クラ吹きならあの注意のされ方にはそりゃカチンとくるよねえ、リードミスって仕方ないものだとか必要悪だ、みたいな感覚で扱ってもらわなきゃ困るよねえ。のだめのドラマとかソフトバンクモバイルの予想外CMで使われてるプロコのロメジュリのあそこってクラリネットレジスター・キー使っていったりきたりしてるからリードミス多発地帯でさあ、リードミスの恐怖って染み付いてるからさあ、ベト7でもリードミスやるんだと当然のように思ってたら、ただ音色汚いだけなのよ。リードミス入ってなくてたまげた。

また唐突に高橋さんのスケートの話に戻しますよ。
昨シーズンのラフマニノフのピアノコンチェルト2番ハ短調チャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトニ長調は対になってると自然に考えたのですが、ラフマの高橋大輔を見ていた時のあの切なさというか胸を締め付けられるような気持ちってやっぱ短調だったからだったのか、って今日わかった。私、ジュニア時代のウエスト・サイド・ストーリー未見なので、彼が長調の曲で滑ってるのみたことなかったんだよね。今シーズンやっと長調的な表現を手に入れたのか、それともできていたけどたまたま短調の曲ばかり使用していたのかはわかりませんが、そうか、長調ってこういう表現になるんだ、という根源的なことをね、教えてもらえたような気がしてね、私が30年理屈で考えて結論が出せなかったことをいともたやすくやってのけてて、敵わないなあと悔しがりながら笑ってしまいました。
音楽習う人ってまず最初に長調短調を習うんです。で、楽しい感じの曲が長調だよ、悲しい感じの曲が短調だよ、って言われて、でも私は長調短調の区別の付け方ってもっと理屈で教えろよ、楽しいけど悲しい曲だってあるだろうが、とずっと幼稚園くらいから思ってて。知識としてはハ長調は白鍵だけ、とか教えられて知ってるけどさ、そういう時だって、ほらこれ楽しい音階でしょ、ってそこで説明終了でさあ、一通りの長調短調のスケールは頭に入ったけど、もっと深いところきちんと教えろよ、つうか知りたい、と部活で強制的にやらされたソルフェージュとか楽典とかみんなあまりやりたくなさそうだったけど無駄に私つっかかって一人でろくに練習もしないで調べてたのね。でも素人の独学じゃつかめなくて。そのまま部活も引退したし受験勉強追い込みでピアノも辞めたし大学受かった時には顎関節症と腱鞘炎こじらせてて楽器はもう無理だと思って、東京の街を遊び歩いてるうちにそれほど頭も使わなくなってそんなことすっかり考えないようにしてたんだけど、どこかにはひっかかってて。
そんな理屈なんかどうでもいいじゃん、って高橋SPチャイコンを見て今日生まれて初めて思ったね。高橋さんの滑りを見てて悲しそうだったら短調で楽しそうだったら長調だって、意味がわかった。

で、ラフマのピアコンの時の大ちゃんはソリストかオケかわからないけど、演奏者だと思ってたんですけど、チャイコンの大ちゃんは指揮者だなあと思って。
これはロクサーヌの大ちゃんは役者だけどオペラ座の大ちゃんは監督だ、と思ったのと呼応してるから、彼の中で何か意識が変わったんでしょうね。押し付けられた「セクシー」じゃなくて今年は「自己分析」だもんな。セルフプロデュースってことだもの。GETSPORTSでのオペラ座の怪人についてのコメントで「あれは3人の物語だから1人で演じるのは絶対無理だと思うんですけど」ってきちんと自己分析してるもんな。そんでじゃあどうしようか、ってセルフプロデュースしてるんだろうなと。今季は役者としての自分を冷静に見る監督としての自分がいるってことだよね。
ラフマの時って音楽に乗せられて演技を引っぱり上げてもらってた所あったと思うんですけど、今回のチャイコンは音楽をリードして滑ってたなあと思って。演技の最初の腕のしなりが去年はピアニストのしなりに通じてたんだけど、今季は指揮者のしなりに見えたってのも彼の目線が変わったからのように思います。

長くなりすぎて他のスケーターに触れる余裕がなくなってきたけど、ステファン・ランビエールのSP、今回は残念だったけど構成とか振付けは面白いなあと思った。魅せるプログラムだった。NHK杯に行くステファン・ランビエールファンの人は渋谷パルコの地下の本屋の並びの雑貨屋にいっぱいてんとう虫グッズあったから仕入れにいくといいよ。あとてんとう虫付きうなずきんは絶対喜びそう。
ここで色々探してみるといいんじゃないかな。http://rainbowspice.jp/unazukin/(これが言いたかっただけ)(ずっと言いそびれてた)